消化器
主な対象疾患
●消化管分野
消化管腫瘍 : 癌、腺腫、様々なポリープ、悪性リンパ腫、GIST、カルチノイドなど
炎症性腸疾患 : 潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病など
消化管出血 : 出血性潰瘍、血管性病変、大腸憩室出血、原因不明消化管出血など
胃酸関連疾患 : ヘリコバクター・ピロリ菌、消化性潰瘍など
※その他、感染性や薬剤性の消化管疾患、および小腸も含めた希少疾患(非特異性多発性小腸潰瘍症、クローンカイトカナダ症候群、消化管ポリポーシス、腸管気腫性嚢胞症、腸結核など)
●肝胆臓分野
ご迷惑をお掛けいたしますが、常勤専門医師は不在です。
概要
消化管
消化管に関連した疾患の診断や治療を行っています。内視鏡検査処置件数は年間6000件を超えており、消化器病の専門施設として、消化器関連学会(消化器病学会、消化器内視鏡学会)の指導施設にも認定されています。当科では、胃癌や大腸癌などの消化管癌の早期診断・内視鏡的治療や炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)の生物学的製剤治療など、より質の高い医療を迅速かつ適切に提供するように努めています。
■ 全大腸内視鏡検査・内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)について
【検査適応】大腸に大腸ポリープ・早期大腸癌・進行大腸癌・炎症性大腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病・感染性大腸炎)等が疑われるとき
【検査目的】大腸病変を観察し、必要に応じて生検・ポリペクトミーを行います。
・生検 : 鉗子で2mm~5mmの組織をとること
・ポリペクトミー : 輪になったワイヤーでポリープを締め、ワイヤーに電流を流してポリープを切ること。この時痛みはありません。(下図参照)
ポリペクトミーの適応は悪性化が疑われる大きさ6mm~20mm前後のポリープで、内視鏡的に病変を切除します。5mm以下の小さいポリープは原則悪性ではありませんので観察のみまたは生検を施行します。20mmを超える大きなポリープ・茎のない平坦型病変・潰瘍合併病変は、当日生検の上、後日精密検査(注腸X線、超音波内視鏡、拡大内視鏡)を行い、治療方針を検討します。
〈 消化管 〉
胃の疾患について
胃は胃酸、粘液、消化酵素ペプシンを分泌する丈夫な袋で食物の最初の消化を行います。酷使されることが多いため、様々な要因から色々の疾患がみられます。症状は上腹部痛、吐き気、吐血、下血などで、もし、異常に気付かれた場合は早めに医療機関を受診してください。ただし、ポリープ、早期胃癌はほとんどが無症状です。幼少期(学童期前)のヘリコバクターピロリ菌の慢性感染が、胃粘膜の萎縮をもたらし胃十二指腸潰瘍、胃癌、ポリープ、胃MALTリンパ腫の発症に関連することが解ってきました。当院ではヘリコバクターピロリ菌の除菌治療も積極的に行っています。40歳を過ぎたら胃X線、内視鏡検査で積極的に自分の胃をチェックする機会を 持ってください。
大腸の疾患について
大腸は約1.5mの長さで、消化されたものの水分を吸収し、大便を形成する臓器です。
何らかの原因で大腸に異常が生じると、腹痛、下痢、便秘、血便などといった症状が現れてきます。最近では食生活の欧米化に伴い、大腸疾患が急速に増加しています。日頃より便の性状に気をつけて、もし、異常に気付かれた場合は早めに医療機関を受診してください。
ただし、大腸ポリープ、早期癌はほとんど無症状です。大腸がん検診/便潜血陽性者の有病率は約30%前後(良性ポリープ20-25%、早期癌7-8%、進行癌2-3%)です。大腸ポリープのほとんどは組織学上、良性腺腫ですが、増大して1cmを越えると中の一部が癌化し、早期癌、進行癌へ進展します。家族内に大腸癌、ポリープのいる人、過去にポリープ切除の既往がある人は大腸癌発症の高危険群です。無症状でも積極的に大腸検査の機会をもってください。
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)について
原因不明の慢性疾患で厚生労働省の特定疾患に指定、消化器専門機関での治療、経過観察が必要です。両疾患とも遺伝因子に環境因子が絡み、免疫学的異常が発生することで腸管の慢性炎症が起こると考えられており、食餌や薬剤による腸内細菌の変化や感染、ストレス、喫煙などによる粘膜防御機能の変化が再燃、増悪、または発症因子のひとつとして考えられています。
潰瘍性大腸炎は1か月以上の慢性下痢、下血の続く難治性の大腸疾患で関節痛や皮膚紅斑など腸管外症状も合併することもあります。
クローン病は全消化管、主として下部小腸、大腸に炎症や深い潰瘍(その形態は縦走潰瘍・敷石像と呼ばれます)を形成する若年発症の原因不明疾患で、難治性痔瘻を高頻度に合併します。ひどくなれば低栄養・低蛋白血症、貧血や潰瘍狭窄による腸閉塞、出血、瘻孔などをきたします。
特定疾患とはいえ、きちんとした治療と栄養管理をしっかりすれば、健康な人と変わらない生活が可能です。また、難病だからといって一人で悩むことがない様に、医療従事者と患者さん、ご家族との共同勉強会・教室を開催しています。今後も半年に1回、定期的に企画・開催していく予定です。
〈 消化管 〉
消化管出血や急性腹症などの急性期診療から高度な専門的治療まで消化管に関する様々な診療について地域の先生方のご期待に添えるように全力を尽くして参ります。
■ 消化管腫瘍への内視鏡治療については根治性、侵襲性、安全性を念頭に各科との連携を密に最適な治療方針を検討しており、大腸の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にも対応できるように体制を整えています。
早期大腸癌の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
■ 炎症性腸疾患については山口県では屈指の患者数で、潰瘍性大腸炎では約170名、クローン病では約70名、その他の炎症性腸疾患では約10名の患者様が通院され、生物学的製剤、免疫調整剤、血球除去療法など様々な治療に対応しています。特に基幹病院という特性のため難治例が多く、生物学的製剤は約60名が導入され外来で継続加療しています。
■ ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療については、通常の1次、2次除菌に加えて、自費診療になりますが3次、4次除菌、ペニシリンアレルギーにも対応した特殊除菌外来を火曜日午後に開設しています。
■ 地域に先駆けてカプセル内視鏡やバルーン内視鏡を導入し原因不明消化管出血や小腸腫瘍などの小腸疾患に対しても診療しています。
〈 治療実績 〉
年 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|---|
検査処置件数 | 6,278 | 6,345 | 5,831 | 5,920 | 5,958 | 6,196 |
上部内視鏡 | 4,679 | 4,734 | 4,185 | 4,306 | 4,261 | 4,478 |
下部内視鏡 | 1,358 | 1,357 | 1,405 | 1,364 | 1,457 | 1,403 |
小腸カプセル内視鏡 | 0 | 40 | 57 | 46 | 59 | 24 |
バルーン小腸内視鏡 | 0 | 5 | 7 | 7 | 8 | 8 |
内視鏡治療 | ||||||
ESD | 32 | 40 | 69 | 70 | 102 | 106 |
EMR(ポリペクトミー) | 254 | 219 | 246 | 277 | 341 | 311 |
止血術 | 113 | 78 | 103 | 110 | 115 | 124 |
異物回収 | 5 | 11 | 9 | 23 | 15 | 10 |
ステント留置・拡張術 |
11 |
33 | 33 | 28 | 40 | 19 |
上下部イレウス管挿入術 | 22 | 33 | 22 | 38 | 33 | 19 |
医師紹介
末兼 浩史 院長
日本内科学会認定内科医、専門医、指導医
日本消化器病学会専門医、指導医
日本消化器内視鏡学会専門医、指導医
TNTC研修修了(NSTラウンドドクター)
原田 英 消化器内科部長
日本内科学会認定内科医、専門医、指導医
日本消化器病学会専門医、指導医、支部評議員、本部学会評議員
日本消化器内視鏡学会専門医、指導医、支部評議員、本部学術評議員
日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医、代議員
日本カプセル内視鏡学会カプセル内視鏡認定医、指導医
日本炎症性腸疾患学会IBD専門医、指導医
日本消化器がん検診学会専門医、中四国支部幹事
岩武 史朗 消化器内科医師
太田 佳奈美 消化器内科医師
岡田 正史 消化器内科医師(非常勤)
日本内科学会認定内科医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
ICLSインストラクター
鈴木 俊幸 消化器内科医師(非常勤)
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器学会専門医
日本内科学会専門医
外来診察担当表
教育研究活動
所属学会
日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、大腸肛門病学会、日本集団検診学会、日本胃癌学会
日本消化器がん検診学会、日本膵臓学会、日本ヘリコバクター学会、日本カプセル内視鏡学会
研究会
カンファレンス
患者教室
山口CDサークル
クローン病の患者さんとそのご家族の情報交換の場として、年2回(6月・11月頃)開催しています。
※開催日程は決まり次第、ホームページのトップ画面にある「新着情報」に掲載します。
CDサークルでは当院職員による講義や腸にやさしいレシピの紹介(試食会)等を行っています。
《過去に紹介したレシピ》
詳しい情報はこちら>>山口CDサークル