脳神経内科
主な対象疾患
脳神経内科疾患の主な症状
もし下記にあげたような症状があれば、脳神経内科の受診を検討された方がよいかもしれません。
かかりつけ医がいらっしゃる場合、まずその先生に相談して、できれば紹介状を持って来院して下さい。
- 意識レベルの異常(意識障害):
ボーっとしている,すぐ眠り込む,時々おかしなことを言う,意識がなくなる - 知能,言語などの異常(認知機能障害,失語,失行,失認):
物忘れがひどい,ぼけてきた,物を盗られたといって騒ぐ, 言葉の理解が悪い,言葉をうまくしゃべることができない,話がとんちんかん - 顔面に関係する異常(脳神経系の異常):
見えにくい,ものが二重に見える,まぶたが下がる,まぶたがピクピクする, 顔面麻痺(まぶたや口が閉じない,など),顔の感覚がおかしい,顔が痛い, 味がわかりにくい,しゃべりにくい,飲み込みにくい - 手足の動きや歩行の異常(不随意運動,筋萎縮,筋力低下,協調運動障害,体幹失調):
手足のふるえ,けいれん,ピクピク;筋肉がやせてきた,力がはいらない,歩きにくい,転びやすい,動作がゆっくり,細かいことがやりにくい - 感覚の異常(知覚鈍麻,異常感覚):
じんじんする,ピリピリする,痛い,感覚がにぶい - 自律神経の異常(膀胱・直腸障害,起立性低血圧,発汗障害):
尿が出にくい,尿がもれる(尿失禁),便が出にくい ひどい立ちくらみ,汗が出にくい・出すぎる
脳卒中
脳の血管が破れるか詰まるかして脳に血液が届かなくなり、脳の神経細胞が障害され重篤な後遺症を生じる
病気です。 原因によって、1)脳梗塞(脳の血管が詰まる)、2)脳出血(血管が破れる)、
3)くも膜下出血(動脈瘤が破れる)、4)一過性脳虚血発作(TIA)(脳梗塞の症状が短時間で消失する)の
4つに分類されます。脳出血、くも膜下出血は当院では脳神経外科が対応します。
脳の血管が詰まる病気(脳梗塞)では、より早期(発症して4.5時間以内が目安です)に治療を開始すると
後遺症が軽くなることがあり、救急対応が必要な病気です。
脳卒中の発症のサインにより早く気がつくための「FAST」という確認方法があります。
「FAST」とは、脳梗塞でおこる典型的な3つの症状の頭文字と、「T=Time」を組み合わせた言葉です。
「FAST」という言葉からもわかるように、脳梗塞治療は時間(Time)との闘いなのです。
症状に気づいたらすぐに受診しましょう。
顔(Face)顔がゆがむ うまく笑顔を作れますか
腕(Arm)片方の腕の力が入らない。腕を上げたままキープ(落ちないように維持)できますか
言葉(Speech)言葉がうまくしゃべれない 短い文がいつも通りしゃべれますか
症状に気づいたらすぐ受診しましょう。
可能なかぎり早く病院を受診しましょう。
なるべく早く診断をつけ、治療を開始することで、後遺症が軽くなる可能性があります。
脳梗塞では、発症してから4.5時間以内、8時間以内の患者さんのみに行える特殊な治療があります
(2012年9月からt-PA静注療法の対象患者が発症後3時間から4.5時間に延長されました)。
治療を開始するには検査が必要で、1時間程度かかります。
症状が出現してから遅くても2時間以内を目安に、可能なかぎり速やかに病院を受診しましょう。
脳卒中が疑われる場合には、脳への血流を保つために横にすることが原則です。
意識がない時には、楽に呼吸ができ、吐いたものが喉につまらないよう側臥位にして、直ちに119番に電話し、
救急車を呼びましょう。
発症4時間30分以内の治療が有効。
アルテプラーゼ(tPA)という脳梗塞治療薬は、閉塞した血栓を溶解させ、途絶した脳血流を再開させることが可能で、発症4.5時間以内にこの薬剤を静脈内投与できれば、脳梗塞が劇的に良くなる可能性があります。
しかし、合併症(脳出血、出血性梗塞)が出現することもあります。
概要
脳神経内科は、中枢神経・末梢神経・筋肉の病気を診断・治療する内科の一部門です。
末梢神経 = 中枢神経から出て全身に広がる運動神経、感覚神経
自律神経、筋肉
脳神経内科は、精神・神経科、心療内科とはちがいます。
- 精神・神経科は、心の病(うつ病、ノイローゼ、不眠ほか)を診ます。
- 心療内科は,緊張やストレスなどの心理的要因で体に病状があらわれる「心身症」を診ます。
- 脳神経内科は、脳外科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、泌尿器科などと密接な関係があります。
脳神経内科の専門外来は、月曜日~金曜日の午前中、毎日開かれています。
外来受付は8:15~11:30、場所は一階の一番奥、脳神経外科と同じところです。
治療実績
疾患別では、頭痛、脳血管障害、末梢神経障害、てんかんなどのほか、いわゆる神経難病の患者さんもたくさん来院されています。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
新 患 | 574 | 483 | 379 | 332 | 306 |
再 来 | 3265 | 3368 | 4045 | 4128 | 3479 |
疾患別では,脳梗塞の患者さんが1/3~2/3程度をしめています。その他、髄膜炎、てんかん、末梢神経障害、
神経難病(パーキンソン病など)の患者さんが入院されています。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
入院患者数 (脳梗塞患者数) |
306 (117) |
323 (133) |
318 (170) |
261 (159) |
285 (159) |
急性期血栓溶解療法 | 2 | 14 | 1 | 6 | 4 |
平均在院日数 | 17.8 | 18.8 | 18.6 | 22.2 | 20.3 |
ボトックス治療
眼瞼けいれん、片側顔面けいれんに対して、ボトックス(ボツリヌス毒素)による治療を行っています。
受診を希望される方は、事前にご予約をお願いします。
月曜日~金曜日(祝日を除く)の午後2~4時に山口赤十字病院(電話:083-923-0111)へ電話して、
脳神経内科外来につないでいただくと電話で予約できます。
診察の予約時刻はあくまでも目安ですので、時間がずれる(遅れる場合が多い)ことがあることをご了承ください。診察予約時刻より15分以上早く来る必要はありません。
(注)検査予約をされている場合は、予約時刻より15分ぐらい早めに受付に来てください。
予約なしで受診することも可能ですが、予約の方を優先しますので、長時間お待ちいただく場合があります。
かかりつけの医師がいる場合
まずかかりつけの先生に相談して、なるべく紹介状を持って来院していただくと、こちらでの診療に役立ち大変助かります。
脳神経内科の受診が初めての方へ
診察に一人30分ぐらい時間がかかりますので、時間の余裕をもって受診していただければ幸いです。
初めての場合、
- 問診 ― あらかじめ問診票にくわしく記入をお願いします
- 診察(神経学的診察) ― 必要であればここで検査
- 説明 ― 処方せんの発行、次の受診や検査の予約など
という手順で診療が進みます。
神経学的診察
- 意識状態、精神状態、高次大脳機能(失語、失行、失認など)
- 脳神経系:
1)嗅神経、2)視神経、3)動顔神経、4)滑車神経、5)三叉神経、6)外転神経
7)顔面神経、8)聴神経、9)舌咽神経、10)迷走神経、11)副神経、12)舌下神経 - 頸部
- 上下肢運動系:不随意運動、筋トーヌス、筋萎縮、筋力、巧緻運動、協調運動
- 感覚系:触覚、痛覚、温度覚、位置覚、振動覚、ほか
- 起立・歩行
- 腱反射
- 自律神経系:膀胱・直腸機能、発汗、血圧調整、ほか
これらの項目をすべて一度にまとめて調べるわけではありません。
脳神経内科でよく行われる検査には以下のようなものがあります。
頭部CT、頭部MRI・MRA、SPECT、脳血管造影検査、脳波、神経伝導検査・筋電図、頸動脈エコー
※いずれの検査も原則として予約が必要です。
山口赤十字病院は、日本神経学会准教育施設の一つです。
当科では、脳神経内科疾患全般の診療を行っており、特に専門としている疾患はありません。前述のように、脳神経内科は精神・神経科や心療内科とまったく異なりますので、紹介いただく際にはご注意ください。新患診療に約30分かかりますので、なるべく事前に予約をしていただければ幸いです。
山口市医師会の先生方に呼びかけ、年に2回「認知症ワークショップ・山口」を開いて、認知症に関するミニ・レクチャーや症例検討などを行っています。詳しくは大堀までお問い合わせください。
医師紹介
永田 倫之 第一脳神経内科部長
日本神経学会;専門医、指導医
日本脳卒中学会;(脳卒中)専門医 、指導医
日本内科学会;認定医、専門医、指導医
日本リハビリテーション医学会;認定臨床医
日本認知症学会;専門医、指導医
宮﨑 哲 脳神経内科医師
芹野 南美 脳神経内科医師
大堀 展平 脳神経内科医師
日本神経学会;専門医、指導医
日本内科学会;認定医、専門医、指導医
日本頭痛学会;専門医
日本認知症学会;専門医、指導医
山口赤十字病院は、日本神経学会准教育施設、日本認知症学会教育施設、日本脳卒中学会認定研修教育病院です。