産婦人科
主な対象疾患
女性に特有の病気を中心に診療を行なっています。
- 妊娠・分娩(産科・周産期):妊娠の診断から異常妊娠への対応、分娩の管理および産後(産褥期)のケア
- 婦人科:子宮や卵巣における良性腫瘍(子宮筋腫・卵巣のう腫など)、悪性腫瘍(子宮頚がん・子宮体がん・卵巣がんなど)の管理・手術、子宮付属器炎や腟・外陰炎などの炎症性疾患の治療、子宮脱などの手術やケア
- 不妊・生殖内分泌疾患:一般不妊の治療(原因診断、排卵誘発、人工授精など、以前実施していた体外受精は現在行なっておりません)、生理痛、不正出血、更年期障害などの思春期・更年期のトラブルの治療
概要
産婦人科診療においては、主に妊娠・分娩を取り扱う周産期医学、子宮がんや卵巣がんなどの診断と治療を行う腫瘍医学および不妊症の診断と治療を行う生殖医療にわけられますが、それぞれの領域が高度に専門化しています。
当院では、それぞれの領域において研鑽をつんだ医師を中心に、6名の産婦人科医が協力して診療を行っています。地域の基幹病院として産婦人科のあらゆる疾患に対して高度の医療が提供できる体制を整えています。
産婦人科ニュース
○骨盤臓器脱の患者さんに対して腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を開始しました(2022/10)
○遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)登録事業を始めるに当たって
〇遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC)の 疑いのある患者さんに遺伝カウンセリングとBRCA1/2遺伝子検査を実施しています
産科・周産期
周産期(母体・胎児)専門医を中心に新生児集中治療室と連携し、山口県の地域周産期センターとしての役割を担っています。 山口市近隣から年間約100件の緊急母体搬送を24時間受け入れています。そのためハイリスク妊娠・分娩が多いのですが、里帰り分娩やローリスク分娩もすべて受け入れております。 4D超音波検査や胎児心エコー検査に力を入れており、胎児心臓超音波検査専門施設に認定されました。 また、安全第一に、助産師主体の助産師健診(外来)や院内助産を行い、妊婦それぞれの希望に合わせたきめ細かい管理を心がけています(院内助産システムの項をご覧ください)。
婦人科
婦人科悪性腫瘍には子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、卵管がん、外陰がん、 腟がんなどが含まれます。当科ではこれらの悪性腫瘍に対して手術療法、化学療法、放射線療法等を組み合わせて、根治を目指した集学的治療を行っています。一方で早期の悪性腫瘍に対しては積極的な妊孕性(妊娠する力)温存治療も行っています。 子宮頸がんに対する子宮頸部円錐切除術、広汎子宮頸部摘出術、子宮体がんへの黄体ホルモン療法および卵巣がんへの妊孕性温存手術などです。 治療の適応を詳細に検討し、十分なインフォームドコンセントの上で実施しています.良性腫瘍に対しては薬剤による保存的な治療や内視鏡(腹腔鏡や子宮鏡)を使用した低侵襲な手術を推進しています。
腹腔鏡・子宮鏡下手術
当科では腹腔鏡を使った手術を積極的に行っています。 良性子宮腫瘍に対する腹腔鏡下子宮全摘出術(Total Laparoscopic Hysterectomy,TLH)や腹腔鏡下子宮筋腫核出術(Laparoscopic Myomectomy, LM)をはじめ、 良性卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮外妊娠に対する腹腔鏡下手術も増加傾向にあります。腹腔鏡は手術の傷が目立たず、美容上優れます。 術後の痛みが軽減され、入院期間が短縮でき、早期に社会復帰が可能です。手術による癒着が少ないので後の妊娠を考えている人には最適と考えます。 一方、子宮鏡下手術では内膜ポリープ切除術や筋腫摘出術を数多く行い、過多月経に対する内膜焼灼術も行っています。
不妊・内分泌
女性医学学会専門医により思春期から更年期まで幅広い対応可能です。 婦人科の特色である女性ホルモンを中心とした、患者それぞれに合った適切な治療や指導を行なっております。 例えば中・高校生の生理痛、月経不順やピルの内服(緊急避妊ピルも)についての相談も女性医師が丁寧に対応します。
遺伝性腫瘍
生まれながらにして乳がんおよび卵巣がんのいずれにもなりやすい体質の人のことを遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と言います。 診断することにより、患者さんであれば治療方法の選択に、未発症者であれば将来の発症予測や予防的治療などライフプランを立てるのに役立ちます。カウンセリングから検査まで自由診療になります。
産科
【妊娠初期】
妊娠初期に受診された場合、およそ2週間おきに胎児発育を観察し、妊娠10週前後に胎児の大きさ(頭臀長)
から分娩予定日を決定します。
【妊婦健診】
分娩予定日が決まったら、母子手帳を交付してもらい4週間ごとの妊婦健診となります。
妊婦健診は完全予約制で月~金の8:30から11:30、月曜日の14:00から15:30、金曜日の14:30から15:30の受診としていただきます。妊娠24週から2週間おき、妊娠36週から1週間おきとなります。妊婦健診では検尿・体重測定・超音波検査を毎回実施します。血液検査は初回の妊婦健診時・30~31週ごろ・37週ごろに全例実施しますが、その他の検査が必要と判断された場合は説明して追加します。妊婦健診の費用はおよそ6630円(超音波検査を含む)で追加の検査や処置により加算されます。
分娩方針は原則として自然分娩を基本としていますが、妊娠41週になっても分娩にならない場合は分娩誘発します。
【ハイリスク妊娠】
ハイリスク妊娠とはふたごなどの多胎妊娠、帝王切開・早産・妊娠高血圧症候群などの既往のある方、胎児の発育不良、高齢(一般的には35歳以上)、若年(20歳未満)妊娠、内科的疾患(甲状腺疾患・糖尿病など)合併妊娠、その他の妊婦の方で、一般の妊婦の方よりも厳重な観察・管理を必要とする妊娠のことをいいます。当院では一般の妊婦健診の他にハイリスク妊娠外来(毎週水曜日 14:00から 担当:月原)を設けて診療しています。また月に1回、産科医、小児科医、助産師、看護師でカンファレンスを開いてハイリスク妊婦の管理方針について検討しています。
【染色体検査】
検査適応のある方に対し、希望により羊水の染色体検査を実施しております。
保険適応外ですので費用は約10万円となります。
新型(非侵襲)出生前検査は実施しておりません。
【分娩】
分娩の立ち会い医(介助医)は原則として、昼間は分娩担当医、夜間は産婦人科当番医となります。
そして立会医が以後の主治医となります。入院は正常経腟分娩で約1週間です。
分娩経過によっては帝王切開が必要となる場合があります。帝王切開の麻酔は麻酔科医が担当し、原則として脊椎麻酔と硬膜外麻酔を施行します。術後約10日間の入院となります。
【助産師外来】
平成20年5月より、助産師外来を開設しました。
対象者は、医師がローリスクと評価した正常妊娠経過の妊娠24週以降の妊婦です。
【院内助産院】
平成21年4月より、院内助産院を開設しました。正常分娩のみの取り扱いとなります。
治療実績
2023年 診療・手術実績数 | ||
分娩数 | 390件 | |
内訳(自然分娩を除く) | 多胎 | 14件 |
予定帝王切開 | 87件 | |
緊急帝王切開 | 69件 | |
緊急母体搬送 | 29件 | |
手術数(帝王切開を除く) | 451件 | |
内訳 | 悪性腫瘍手術(うち円錐切除) | 69(43)件 |
良性開腹手術 | 43件 | |
腹腔鏡下手術 | 257件 | |
子宮鏡下手術 | 47件 | |
経腟手術(うち流産手術) | 70(21)件 |
手術件数はこちらから
- 初診の方の受付時間は手術日の関係で月・水は 8時15分~11時30分
火・木・金は 8時15分~11時00分 となっております。 - 妊娠初期や不妊症の方は尿検査があることがあります。
トイレに行かれる前にスタッフにひと声おかけ下さい。 - 多くの場合、診察がございますので、脱ぎ着しやすい服装や履き物でお越しください。
- かかりつけ医のある方は、できるだけ紹介状をご持参ください。
産婦人科医以外のかかりつけ医でもかまいません。 - 初診の方は順番が来るまでかなりお待ちいただくことがあるため、時間に余裕のある日に受診をお願いします。また受付番号が再診の方と大幅に前後することもありますのでご了承下さい。
◯里帰り分娩(帰省分娩)をご希望の方へ
予約は不要ですが、妊娠32~33週には受診して下さい。どうしても難しい場合は個別に対応しますので、下記へお問い合わせをお願いします。これは母子共に安全なお産を行うためですのでご了承下さい。
またお持ちの妊婦健康診査受診票が当院で使用可能かどうか、発行された保健センターにあらかじめご確認ください。
また下記に該当する方は可能な限り妊娠32週より早く帰省してください。
- 分娩様式が帝王切開と決まっている方
- 基礎疾患があり、他科への紹介が必要となる方
- 胎盤の位置異常(前置・低置)を指摘されている方
- 赤ちゃんが小さめまたは大きめと言われている方
- 切迫早産や多胎など現在の主治医から早めの帰省を勧められている方
○婦人科腫瘍の患者さんへ
当科では婦人科腫瘍専門医を中心に、他科とも連携して、腸管や膀胱の合併切除を含めた積極的な手術療法を行っています。子宮頸がんに対する超広汎子宮全摘出術、広汎子宮頸部摘出術(妊娠する力を残すために子宮体部と両側卵巣・卵管を温存)、卵巣がんに対する傍大動脈リンパ節郭清術、骨盤腹膜全切除術、横隔膜下腹膜切除術、再発卵巣がんに対する二次的腫瘍減量手術等も行っています。
進行がんで手術が困難と考えられる症例でも、術前化学療法を行った上で根治術を行うことも多々あります。しかしながら、手術を施行するにあたってはその適応を慎重に見極め、わが国の標準的治療に沿ったかたちで手術法を選択することを原則としています。
手術を治療の選択肢としてお考えの方は、外来受診でもセカンドオピニオンでもかまいませんので、一度ご相談下さい。再診の方で電話予約される場合も下記の方法でお願いします。
お問い合わせ方法
平日(月から金)の14時00分から17時00分の間に山口赤十字病院(代表083-923-0111)へ
電話していただき、産婦人科外来へとお伝えください。
医師紹介
臨床研修指導医、母体保護法指定医
日本臨床細胞学会;細胞診専門医、指導医
日本婦人科腫瘍学会;婦人科腫瘍専門医
日本産科婦人科内視鏡学会;腹腔鏡技術認定医
日本がん治療認定医機構;がん治療認定医
新生児蘇生法『専門(A)』コース修了
J-MELSベーシックインストラクター
申神 正子 第二産婦人科部長
臨床研修指導医、母体保護法指定医
日本女性医学学会;女性ヘルスケア専門医、暫定指導医
日本思春期学会;性教育認定講師
新生児蘇生法『専門(A)』コース修了
月原 悟 第三産婦人科部長
日本胎児心臓病学会;胎児心エコー認証医、代議員
日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会;認定臨床遺伝専門医
日本周産期・新生児医学会;周産期専門医(母体・胎児)、指導医(母体・胎児)
日本超音波医学会;専門医、指導医
臨床研修指導医
髙石 清美 婦人腫瘍科部長
日本女性医学学会;女性ヘルスケア専門医、指導医
日本婦人科腫瘍学会;婦人科腫瘍専門医、指導医
日本がん治療認定医機構;がん治療認定医
日本周産期・新生児医学会;周産期専門医(母体・胎児)
母体保護法指定医
日本遺伝性腫瘍学会;専門医
南 星旭 婦人科内視鏡部長
日本産科婦人科内視鏡学会;腹腔鏡技術認定医
日本婦人科腫瘍学会;婦人科腫瘍専門医 日本周産期新生児医学会;周産期専門医
日本がん治療認定医機構;がん治療認定医
井上 浩太朗 産婦人科医師
平塚 由貴 産婦人科医師
外来診察担当表
教育・研究活動
医療機関の認定・研究協力